子どもが泣く理由を考えたら、親が育った話

日常生活の魅力化

幼稚園3日目。

はじめて幼稚園バスに乗る前に泣いた。

お友達が皆バスに乗りおわっても泣き続けている息子を抱っこして先生に預けようとすると「怜、自分で行く。パパママ、ここで待ってて。」と言い自分でバスに乗り込んでいった。

幼稚園に行きたくない!?

産まれて3年8ヶ月、パパやママや家族と一緒に過ごすことが疑いもしないい当然の日常だった息子。

幼稚園に通うということは、パパとママと離ればなれになる、はじめての大冒険。

数ヶ月前まではひとり遊びすらままならなかった息子にとっては、あまりに大きなハードルなため、

しばらくの間は、泣きじゃくる息子を虎の子を谷から突き落とすような気持ちで先生に預ける図を想定していた。

ところが、初登園日は、パパ・ママの不安を横目に、笑顔で元気にバスに乗り込んでいった。

あの甘えん坊だった息子が、泣きもせずひとりで幼稚園へ行くなんて!

入園前に何度も幼稚園に通い、園生活を体験したり園庭で遊んだりして、『幼稚園は楽しいところ』『安心して行っていいところ』という思いを植え付けてきた賜物か!?

大きなハードルをいとも簡単に超えたのだから、このままスムーズに幼稚園生活が進んでいくものだと、パパもママも一安心していた。

ところが、今朝。

そんな前日までの姿とは少し様子が違った。

朝はお支度に十分な時間を確保できるように、家を出る予定の1時間半前には起きている。

「早くお支度ができたら少し遊んでい〜い?」と、スケジュールをコントロールできる自信があるのかないのか、機嫌は悪くない。

昨日までのように、1時間かけて朝食の時間を満喫し、歯磨き、洗顔、おトイレ、お着替え・・・と順調に進むが、いかんせん1つひとつのタスクに時間がかかるせいで、遊ぶ時間は確保できずにタイムオーバー。

すると、「怜、遊びたかったぁ〜」と泣き出した。

迎えのバスの時間が迫ってもテーブルの下にもぐりこんで大暴れしているので、半分引きずるように連れ出し、バス停に向かった。

諦めたのか、半べそをかいてしょぼ〜んとしている息子に、私は『明日は遊べるように、お支度を早くやろう』というニュアンスのことを伝えた。

そのように伝えたのは、『息子は、遊びたかったのに、遊べなかったから泣いている』と思ったから。

息子自身がそのように訴えているんだから、そうなんだろうと思った。

ホンネとタテマエ 3歳児の心の葛藤

ところが、バスの到着を待つ少しの間、ママは、

「ほんとは、今日幼稚園に行きたくなかったんだよね?」と。

!?

えっ、そうなの!?

怜は、ママのことばに共感したのか「うん」と頷く。そして、また泣いた。

単に、遊びたいという欲求がかなわなくてグズってるもんだとばかり思っていたけど、グズっていた理由は、実は違っていたのかもしれない。

息子を送り出したあと、「なんで、そう思った?」と妻に聞いてみた。

ママ
ママ

遊べないからって、普段はあんなにグズらないでしょ。他に理由があるはず。

 

それに、(幼稚園に行き始めて)新しい生活になって3日目ってことは、いっぱい緊張もしてるし精神的にも相当疲れが溜まってきてるんだろうね。

 

幼稚園に行かなきゃいけないんだ、頑張りたいんだという自覚と、でもほんとは行きたくないっていう気持ちの間で葛藤してるんだと思う。

 

身体も心も一生懸命に頑張っていっぱいになって、それがたまたま時間がなくて遊べなかったっていうきっかけで溢れ出したんだと思う。

 

それをことばで整理できればいいけど、まだそれができないから本人も混乱してるんだよ。

 

それにプライドもあるんだろうね。だから、『遊びたいっていう希望がかなわなかったていうことをとりあえずの理由にして泣く』っていう形で表現したんでしょ。

・・・なるほど。

子どもなりに、今自分がしなければならないことはわかってる。

でも、そのしなければならないことをする気にはどうしてもなれない。

かといって、その気持ちをストレートに表現することもできない。

ことばで伝えることができないことがある。

その本音の部分を、私は汲み取ってあげることができなかった。

子どものキモチに寄り添う

ママが「怜は、ほんとは、今日幼稚園に行きたくないんだよね?」と優しく息子の気持ちを代弁してあげたことで、息子は「ママはボクのことをわかってくれたんだ」という安心感を得られたんだと思う。

その安心感・安堵感が気持ちとして溢れ出して泣いたんだろう。

だから、泣きながらも「自分で行く」と言って、ひとりでバスに乗り込んでいけた。

もしパパしかいなかったら、

  • 『のろのろお支度をしていたから、遊ぶ時間がなくなっちゃったということを諭して、明日からは余裕をもってお支度を頑張ろうね』という趣旨のことを伝える
  • 『いつまでも泣いていないで、気を取り直して幼稚園に行っておいで』的な言葉掛け

くらいの対応しかできなかったと思う。

実際のところ、息子の気持ち(本音)がどうだったのかはわからない。

妻の解釈が正しかったのかどうかもわからない。

ただ、少なくとも、親として息子の気持ちを汲み取ろうとする姿勢や、心の葛藤や浮き沈みに寄り添おうとすることは、息子との信頼関係のベースになることは間違いないはず。

今日みたいな出来事は、普段のなにげない生活の中にイヤというほどころがっているんだろう。

あたりまえに繰り返される生活の中にこそ、子どもの気持ちに寄り添った関わりをしてあげたい。

子育ては、親も育てる、魅力的なプロジェクトだ!

いつの間にか成長して、どんどん親もとから離れていく息子。

これからの幼稚園生活でも、山あり谷あり、いろんな経験をするだろう。

親は、これまでのように側についていることも、辛いことや悲しいことを遠ざけることも、かわりに頑張ることもできない。

辛いことや悲しいことは全て取り除いてあげたい。

でも、できない。

嬉しいことや楽しいことだけに囲まれていつも笑顔でいてほしい。

でも、それだけじゃ息子が成長しない。

それこそ、崖から突き落とす気持ちで、心を鬼にして、かわいいかわいい息子を社会に放り出さなければならない。

でも、したくない。

でもでも…

そんな中で、親ができること。

  • 親は、どんな自分でも必ず受け入れてくれる。
  • 家庭は、安心して帰ってこられる。

息子にそんな信頼感や安心感をもってもらえるようにすることが、息子を支える土台となり、頑張る原動力になるんだろう。

まだまだ、子育てを語れるほどの経験もなければ知識もないが、少し親として成長した気がした。

子育ては、親育て。

実に魅力的なプロジェクトだ!

コメント